レオンは孤独な殺し屋。文字の読み書きがわずかにできるほど。生きる術は殺しの依頼の報酬を受け取り、ひっそりと暮らすこと。そんな彼の元へ舞い降りた一人の少女マチルダ。マチルダもまた不運だが観るものを優しくさせるキュートなヒロインだ。
崩壊した家族の元で育ったマチルダ
マチルダは小さなマンションのような一室で家族と暮らしていた。しかし家族は崩壊。父親が麻薬を所持していた疑いがかかるところから始まる。マチルダは邪魔者扱い。母親も実の母ではない。父の再婚相手で存外な扱いをされていた。
若干12歳のマチルダは、そんな家庭の影響で学校にもロクに行かず、タバコを吸うような世間一般的には悪い少女だった。親が殺されるまでは。
親を殺したのはスタンフィールドという密売組織のボス。イかれたポンチ野郎だ。このスタンフィールドとマチルダの父が繋がっていた。マチルダの父は麻薬をくすねた。その代償としてスタンフィールドに家族全員を殺される。マチルダ以外は。
レオンとマチルダとの出会い
マチルダはたまたま買い物に出かけていた。おつかいを頼まれていたから助かった。おつかいの間に家族は全員殺される。父、母、姉、弟。
ちょうど玄関で死んでいる父を見てしまったマチルダ。家の中にはまだ密売組織の集団がいる。マチルダは自分の家を横目に見ながら進む。
以前からレオンの存在を知っていたマチルダは、自分の家には入らず、マンション奥のレオンの部屋のインターホンを鳴らす。
ピンポーン。
マチルダの家は見張りがいる。マチルダは「へーい、私よ、開けて欲しいの。お願い。」
隣の銃声がやばいことに気づいていたレオン。インターホン越しには少女の姿。泣きながら懇願する少女の姿。「プリーズ、プリーズ・・・(涙)」
人に心を許したことがないレオンにとって初めての人助けだった。少女はレオンの家に入り、なんとか一命を取り止めた。
行くあてのないマチルダ。家族すべてを失ったマチルダはレオンに感謝しながらも面白い言葉を放つ。
「今わたしを追い出せば、助けなかったことと一緒よ?だから私を助けて」
確かに。すぐにレオンの家から出れば、密売組織に足を掴まれる。レオンは仕方なくマチルダを受け入れ、しばらく一緒に暮らすこととなった。
マチルダ『私にも殺し屋の技術を教えて』
レオンと一緒に住むこととなったマチルダは、身寄りもない生きるすべも力もない。そこでレオンに殺し屋としての知識を教えて欲しいと頼む。
「私に殺し屋の技術を教えて」
「だめだ」
「じゃあ出て行くわ、今出て行けば助けなかったことと一緒よ。」
初めは反対したレオンだったが、彼女の境遇に同情し殺し屋の技術を教えることにした。レオンにとっては少女に殺し屋の技術を教えるなんてできなかったのに。なぜか心が開かれてゆく。
マチルダが自分と同じような匂いを感じたのかもしれない。