地面師たち

『地面師たち』なぜ石洋ハウス社は地面師に騙されたのか?Netflix人気ドラマ【ネタバレ注意】

Netflixの注目ドラマ『地面師たち』
このドラマは、かつて積水ハウス社が地面師に70億を騙し取られた事件を元ネタに、Netflixオリジナルドラマとして展開されている。

マイクホームズ社の地面師詐欺の後、第2話~第7話(最終話)までは、石洋ハウス社が地面師詐欺にハマるまでが描かれる。その規模なんと100億円以上。
不動産大手の一角である石洋ハウスは、なぜ地面師詐欺になど引っかかってしまったのか。
現実でも起きたのだから、当事者は相当な悲惨な思いをしたことは想像に難くない。

大規模プロジェクトが頓挫しそうになった石洋ハウスの焦り

大手不動産会社の石洋は、100億規模の商業施設付きタワーマンションを都心に建設するプロジェクト(仮「タワマンプロジェクト」とする)を推進していた。

しかし、新しいタワーマンションが建つであろう土地の地主にトラブルが発生。地主の不倫が奥様にバレ、離婚。離婚後は奥様に土地を持っていかれるという悲惨な結果に。

つまり、タワマンプロジェクトの土地がなくなるという大誤算。設計段階まで進んでいただけに、既に2~3億を消費していた。

 

タワマンプロジェクトの責任者であった石洋の青柳開発本部長(演:山本耕史)は、なんとしてもこのプロジェクトを頓挫させまいとし、新しい土地探しを部下に命じる。

だが、100億規模の土地が都心ですぐに見つかるわけでもなく、青柳は苦慮していた。

このまま頓挫すれば設計段階を止めるだけで、損失は2~3億程度。超大手の石洋ハウスからすれば大した金額ではなかった。

本当はここで止めるべきだったのかもしれない。

 

しかし、人間の欲は果てしない。

青柳は諦めることができなかった。

なぜか。

出世欲と社長の後押しがタワマンプロジェクトを継続させる

青柳は既に開発本部長という十分な役職であった。しかし、青柳は将来の社長ポストを狙っていた。

『地面師たち』の中で詳細は語られるが、石洋ハウスは派閥争いが起きていた。(くだらないと思われるだろうが)

会長派社長派である。

 

会長は国内案件に興味はなく、海外への不動産案件にのめり込んでいた。社長は国内開発を重んじ、タワマンプロジェクト寄りであった。

青柳は社長と死戦を潜り抜けてきた過去があり社長派である。

タワマンプロジェクトが頓挫しそうになった時、社長からこんな話があった。

今や会長派や社長派だのと言われている。俺たち(社長と青柳)がさらに次を目指すには、このタワマンプロジェクトをなんとしても成功させねばならない。

これが青柳がこのプロジェクトを降りれなかった理由である。

 

このプロジェクトが成功すれば本部長 → 執行役員に推薦する大義名分となる。

そんな折、タワマンプロジェクトを継続させるための土地が見つかる

それは、地面師たちが目をつけた土地であった

 

ハリソン山中のこれまで以上に残虐かつ入念な計画

地面師側の話をしよう。

地面師たちのリーダーであるハリソン山中は、これまで以上に慎重に計画を立てる。

計画と呼べるものかはさておき、100億の大きな山を登るには最低限以下の計画を立てたであろう。ハリソンは恐ろしい人物像である。

  1. 地主を一時的に追い出すため弱みを探る(辻本拓海)
  2. 弱みを見つけ、尼さんを一時的に追い出す(辻本拓海)
  3. 情報屋に金の流れを洗浄させた後に始末する(竹下)
  4. 不動産情報を流させたブローカーを始末する(ハリソン)

見つけてきた土地は、現実世界で高輪ゲートウェイ駅の近く、高輪の光庵寺(こうあんじ)というお寺の住職が管理する土地。

この住職は尼さんであり、親が亡くなり尼さんが一人でお寺を管理していた。

だが、尼さんはこの土地を売る気は一切ない。

 

ではどうやって地面師たちはこの土地を売ろうとするのか。

なりすまし役はこれまで通りに見つけてくることに変わりはない。

尼さんを追い出す計画である。追い出すこと自体はハリソンが計画したものではなく、辻本拓海(演:綾野剛)が計画したものだ。

辻本拓海は、尼さんの弱みを発見し、売買契約を行う間だけ寺から追い出すという作戦。

 

加えて情報屋の竹下と、情報を流すブローカーを始末する。情報の出所を不明にする、という意味か。

情報屋は非常に危険度が高いポジションであることがわかる。

さらにブローカーはほぼ被害者である。元々ブローカーというだけ違法な取引を行なっていたが、ハリソンの計画に始末されることが含まれてしまった。

この計画はハリソン一人が誰にも明かさずに実行している。

 

竹下の始末は元々計画にはなかったか。いやあっただろう。

竹下は金の取り分について文句を言う場面が描かれる。竹下の言い分は「自分がこの情報を渡さなければそもそも計画自体がないだろ」といった内容である。

そんな竹下が要求した金額は30億。100億のおよそ3分の1である。(ちょっと多すぎる)

 

既に竹下は抜け出せない恐怖を感じていたのかもしれない。

100億の案件に対して地面師チームは5名。どうしても配分に無理がある。

ハリソンは金の洗浄など他にも仕事を与えることで30億を準備すると言っていたが・・・。

 

 

非常に面白いドラマなのでぜひおすすめしたい。地面師たちを見るならNetflixで。

第一話の「マイクホームズ社がなぜ騙されたか」についての考察はこちら

 

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